筆者の通う大学では、無線LANは原則的に無いにも関わらず、最近「激遅」です。
もちろん、一般的な大学でもネットワークが低速化する問題は頻発しており、学生の不要不急な通信を控えるように公表している大学もあります。
また、この大学の場合は特に、アプリケーション単位での制限はしていないようですが…
最近、学内ネットワーク経由でLINEは出来なくなりました。それぐらいです。
そもそも論、日本にある回線自体がスマートフォンやIoT機器など、様々な機器が常時ネットに接続するようになり、大混雑しているのですが、
特に大学などの公衆回線においては顕著です。
なぜ、混雑しているかというと、ほとんどのケースが
「YouTube、TwitterなどのSNS」「P2P通信(Skype、BiTorrent、LINEなど)」「Windows Updateやアプリストアなどの通信」
であり、実際に通信量の70%がこれらに使用されているとの統計があるようです。
筆者の通う大学の場合は、特定の学生・職員しかWi-Fiは使用出来ないので、
Wi-Fi自体は非常に快適ですが、学生用の回線が大混雑しているのですね。
では、当大学のケースを見て、なぜ混雑しているか、一時的な対処方法についてお伝えします。
目次
当大学のケース
これは、7/10(水) 11:32に計測した速度ですが、
なんと、上りは0.00…と、有線接続&高性能PCで測定していますが、スマホの速度制限未満の速度です…
これではGoogleすら開くのに30秒ぐらい掛かりますし、講義や演習も出来ません。
実際、学習支援室で指導中に全く繋がらず、原因究明をしていたところでした。
ではなぜ、このようなことが起こるのかという事ですが、
当大学の場合…PCがだいたいざっくり1,000台ぐらいありますが、
回線はなんと「1Gbps」で、プロキシサーバ1台です。
つまり単純計算で1Mbps/台…とはいきません。動画再生をしていれば1台5Mbpsぐらい食ってますし、Update類が走っていれば10Mbpsぐらい食っている事でしょう。
(当大学の場合は、Updateが走るのは事務系と情報学部ゼミPCぐらいですがね。)
1Mbpsは、WiMAXやアドバンスモード、ギガホ(docomo)の制限速度ぐらいです。
情報学部の研究には少々厳しいですが、YouTubeの標準画質は再生できますし、Yahooも20秒程度で読み込むでしょう。
しかし、朝の一時的な時間だけかと思いきや、夜間、休日でも不定期にこんな速度になります。
もはや私の設置した機器が原因かと思い先生に聞くが、「昔からこんな感じ」だそうです…
では、ここで「プロキシ」というものをよく聞くと思いますが、プロキシとは何かを簡単に。
プロキシが時代に合っていない
プロキシは、英語の意味の通りいわゆる「代役」です。代わりにネットに情報の橋渡しをしてくれる人です。
基本的に企業や学内のネットワークはセキュリティ上、閉塞されており、この「代役」なしでは外部に繋がらない仕様になっています。
学内でLANを挿したり無線で繋げても、プロキシや一部の場所では固定IPを設定しないと、ネットに繋がらないのはこのためです。
この代役が5つの役割を持っており、
・代わりにネットに接続する事で、一気に大量のネット回線が使われることを防ぐ
・外部不正攻撃からの保護(ファイアウォール)
・怪しい通信のフィルタリング(公共の場でふさわしくない物などを遮断)
・通信監視機能(誰が、いつ、なんのサイト・どこに・何を通信したか等)
・キャッシュ機能(これが肝心です。)
なのですが…実は5番目の「キャッシュ機能」が、時代の変化によって損なわれつつあります。
キャッシュ機能は、多くの人が頻繁に見にいくサイトのデータ(画像や動画)を保存しておき、
わざわざ取りに行かなくても、プロキシサーバが代わりにそのデータを渡すことで、トラフィック軽減に繋がる機能なのですが、
今、ほとんどのサイトやデータはhttpsをはじめとして暗号化されており、暗号化されたデータは、ここでは保存しても意味がありません。
つまり、キャッシュできない→毎回各サーバにデータを取りに行く→大混雑が発生!!
といった状態になっており、昔ながらのまま放置した結果…とも言えます。
簡単にいうと…皆が頻繁に、外に買いに行くものを買い溜めしておき、必要に応じてそのプロキシさんが配るといった形ですが、
暗号化されると、その「何が欲しい」は、本人からお店までの間は「金庫」に入れられます。つまり、本人とお店しか知れませんので、プロキシは代わりに溜めておけません。
溜めておける方法もありますが、難しくなるのでここでは述べませんし、大学では基本的に使われていません。
そんなプロキシに、追い討ちを掛けるかのように…
10年前と比べてみましょう。スマホやネットで注文、やり取りするコンテンツは激増しましたし、
ウェブサイトを見ていても、画像や広告、動画がふんだんと使われるようになったでしょう。
当たり前ですが、たった0.1Mbpsでも20年前のテキストベースのサイトなら、一瞬で読み込みます。
YouTubeの画質も、10年前は「1080p 30fps フルハイビジョン」が最高でしたが、
今では性能によっては「8K(2160p) 60fps」で再生されます。1080pが2Kと仮定すると単純に4倍です。(コーデックの違いやビットレートは考慮しない)
さらに、ソフトウェアの容量も増え、Windowsも10になり、XPと比べ一気に肥大化しました。通信に対する逼迫は尋常ではありません。
さらにさらに、ガラケーに比べ常時通信するスマホが急増。一部とはいえこれもWi-Fiに繋がっていると考えると…想像を絶する状況なのはよく分かると思います。
もちろん、当大学はWi-Fiを毛嫌いしていますので、学生による娯楽の通信はほとんどありませんが。
(その証拠に、情報学部用のS回線は、無線でも400Mbps近く出ます。もちろんパスワードや有線LANの場所はごく数名しか知りません。)
よくある方法…ネームサーバー変更は無意味です!
よくある方法として、ネームサーバーを変更するという方法が紹介されていますが…
そもそもプロキシ環境だと、ほとんどの環境で外部のネームサーバーとは通信できないので、無意味です。
むしろ、繋がらなくなるのでやめた方がいいでしょう。するなら、サーバ用のOSなどで本格的に…
ではどうすれば?
自分でWi-Fiを持ち込むのが最適解です。
学内のLANケーブルを抜いて、Proxyサーバをオフ。Wi-Fiドングルを差し込むか、
Pocket Wi-FiまたはWiMAX本体をPCに差し込む。Users権限だけで出来ます。Admin権限も必要ありません。
ただし、私のようにバレて、プロキシ変更までガチガチにされたケースもあります。
(どうせドライブシールドだし…先に回線直せよと言いたいところだが…)
なので、同大学&特定の部屋であればドングルは貸し出しますし
実は大学内NWでプロキシを迂回するサーバも構築していますので、こちらに迂回するという方法もあります。
もちろん、こちらの方が使う側としては手っ取り早いですし、管理者権限不要です。
作る側は死ぬ程の思いで作りましたが…
もちろんこれは、学内PCでオンラインゲームが出来てしまう方法にもつながるので、公開はしません。
(まぁ少しTCP/IPの知識があれば出来る事ですが。)
随時、必要なところには筆者監督の下で使用しています。
もっとも、こうした方法を潰して回るより、まず回線をなんとかしろというところです。
(実際、この方法は防ぐ方法はありませんので、特に気にしてはいませんが。)
しかし、こんな回線状況じゃいつまで経っても、無線LAN公式設置は無理なようですね…
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